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ある日の大阪中之島、カルチャーセンターの一室から、何やら楽しそうな笑い声が聞こえてきました。「絵だより教室」が始まったのです。
講師はそわ絹江さん。開講して10周年を超えたというこの教室の原点は、まだ子育て中だった主婦が「自分にできることにチャレンジしてみたい」と踏み出した一歩でした。
学生時代に絵を描いていたそわさんが、再び描きたいと思ったのは、2人の子どもがまだ小さかった頃のこと。
“子育て中でも、何かにチャレンジしたい。毎日感じていることを表現したい。”
そんな思いから、自宅で近所の子どもたちのお絵かき教室を開き、また自分でも本格的に描き始めました。
1977年には、住んでいた街の銀行のロビーで、元気いっぱいの子どもたちの絵を展示した「ぼくのえ わたしのえ」作品展を開催。この作品展はそわさん一家が遠方へ引っ越すまで、毎年の恒例の行事となりました。。 |
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絵は描き続けているものの、主婦業に追われる毎日…それがなんとなく単調に過ぎていくのを、そわさんは物足りなく感じていました。
そんなある日、ある女流画家の新聞記事が目に留まり、作品や人柄に興味を惹かれたそわさんは、その画家の教室に参加しました。
大胆に描きながらも「美しい生活を楽しむシンプルな生き方を」という、その画家の主張にそわさんは目からウロコが落ちたような感動を覚えました。
その後、暮らしをやりくりして海外へスケッチ旅行に出かけたり、個展を開いたりしながら、そわさんは女流画家に触発された感動を表現できる、何か新しいスタイルを模索していました。美しいものは日常生活にある。それを表現するには、キャンバスよりもっと身近なもの…ポストカード!そわさんの前に絵だよりの新しい世界が広がりました。
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暮らしのなかでふと目に留まったことや心をとらえたこと、旅先で出会ったことなどを、そのとき感じた気持ちのままにポストカードに描いて言葉を添えた小さなお便り、それが「絵だより」です。ハガキサイズだから、どこでも気楽に描けて気軽に送れ、受け取った方も文字だけのお便りとは違って、同じ時間を共有しているようなひとときが楽しめます。
そわさんは、主婦として家事をこなす日々の中で、ふと見上げた空の青さ、キッチンで洗っているいきいきした野菜たち、四季折々の庭の草花、身のまわりの小物…そんな何げないものにハッとする美しさや色の鮮やかさを感じてきました。その小さな感動を描き留めるのに絵だよりはぴったり。そわさん流の暮らしから、そわさん流の絵だよりが次から次へと生まれていきました。
「画家として描くときと絵だよりを描くときは、同じ絵筆を手にしてもまったく違うんです」とそわさんは言います。水彩画は作品としてテーマや構図を吟味して描きますが、絵だよりを描くときは、主婦であり、生活するそわさんが、感じたままをぱっと素直に表します。心が躍るその瞬間が絵と言葉になるのです。キッチンでも、外出先や旅先でも、その場がアトリエです。
毎日同じような家事の繰り返し、平凡でつまらないと感じていた主婦の日々が、絵だよりに描くことで、いろんな発見のあるいきいきとした日々へと大きく変わったのです。絵だよりを描くことは、日々の生活を楽しみ味わう生き方をすることでした。「絵だよりのおかげで心が元気になった」とそわさんは語ります。
1945年、滋賀県生まれ。
京都・成安女子短期大学意匠科卒業。結婚後、1970年代に町の小さな絵画教室を開く。子どもたちを教えながら、水彩画家として絵画の道へ。1983年より大阪を中心に東京、京都ほか各地で55回を超える個展を開催。また同じ頃から、絵だよりでコミュニケーションの輪を広げようと提唱して、朝日カルチャーセンターなどで指導。みんなの絵だより作品を集めた年に1度の「絵だより大好き」展は、2007年に10周年を迎えた。朝日カルチャーセンター(大阪・中之島、兵庫・芦屋)、NHK文化センター(京都)、JTBカルチャーサロン(大阪・梅田)、そわ工房・心斎橋教室で指導。
■著書
『いつも、心に「絵だより」を。』(青幻舎)
『風になって、ゆったり…スケッチ散歩』(青幻舎)
『「絵だより」いっぱい、ありがとう。』(青幻舎)
■そわ工房のホームページ
http://www.sowakobo.co.jp/index.html