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2025/2/17

MY “DAY1”
「1年目であっても、あなたが日本市場を一番理解しているべき」 ブランドのグローバルCEOからの一言に裁量の大きさを実感

2018年4月にP&Gマーケティングへ新卒入社した阪本さんのDay1は、「SK-II」ブランドのクリスマスコフレのキャンペーンリーダーから始まりました。特にビューティー業界が盛り上がりをみせる大切なクリスマス商戦のプロジェクトを通じて、マーケターとしての基礎を身につけた後、世界的なスポーツ大会を契機としたキャンペーンのリーダーとしてプロジェクトを牽引。その後、シンガポールにて、食器用洗剤「ジョイ」の新製品企画も担当。新製品の企画からコミュニケーション戦略の立案・実行までを一気通貫で経験しました。就職活動の頃から “グローバルで活躍できるマーケターを目指したい” と考えていた阪本さんは、「P&Gマーケティングには、キャリアの可能性が溢れている」と話します。そこで今回は、キャリアパスに焦点を当てながら、阪本さんのDay1ストーリーから現在までの軌跡をたどります。

MY “DAY1” 「1年目であっても、あなたが日本市場を一番理解しているべき」 ブランドのグローバルCEOからの一言に裁量の大きさを実感

阪本拓馬
2018年P&Gマーケティングに入社、「SK-II」ブランドマネージャーとして、1年目から複数のプロジェクトをリード。2021年に担当したキャンペーンの成功により、毎年各マーケットで活躍した社員に贈られる『CEO Award』を受賞。その後、シンガポールへ異動し、「ジョイ」のシニアブランドマネージャーとして、食器洗いの習慣に着目した新たな食器用洗剤「ジョイPRO洗浄シリーズ」の製品企画を主導。その後日本に帰国し、「ジョイ」の事業責任者としてブランドだけではなく、営業戦略や事業計画など事業全体を牽引。2025年1月より再びシンガポールに赴任し、「ファブリーズ」のブランドディレクターを務める傍ら、マーケティング職の新卒採用リーダーも兼任し、組織の成長にも貢献している。

マーケターとは「アイデアの力で世の中をより良くする仕事」


――まずはP&Gマーケティングに入社を決めた理由を教えてください。

阪本:P&Gマーケティングならグローバルで活躍できるマーケターを目指せると確信したからです。その理由は大きく分けて3つあります。
1つ目に「1年目から専門職であるマーケターとして働ける」環境だったことが挙げられます。海外留学中に、将来について考えていた際、“アイデアの力で世の中をより良くする仕事がしたい”という自分がいることに気づき、それが叶う仕事がマーケターだと考えていました。そのため、マーケターとして働くことを目指しており、中でもP&Gは職種別採用のため、1年目からマーケターとして経験を積み、専門性を高めることができる環境があった点が魅力的でした。

2つ目は「マーケティング企業として高く評価されていた」ことです。留学中、「P&Gはマーケティングカンパニー」と聞くことが多く、大学のマーケティングに関する授業でもP&Gの事例が度々紹介されるなど、まさにマーケティングのリーディングカンパニーである、と感じました。そのため、マーケターを志望する仲間たちからも人気で、P&Gのマーケターになりたいという想いを強く抱いていたのを覚えています。

そして、3つ目に「グローバル規模で成長できる環境が整っている会社」だったことです。P&Gでは、入社初日の「Day1」から裁量の大きなプロジェクトを担当することが期待されており、若くして成長できる環境が整っています。加えて、日本にいながらグローバルチームとの協働も多く、また日本だけではなく世界中にビジネスを展開しているため、世界に通じるP&G流のマーケティングメソッドを働きながら学ぶことで、世界中の消費者の方々のニーズを理解し、より良い生活を実現するためのアイディアを形にする、そんなグローバルマーケターを目指せるのではないかと考えました。

「SK-II」のキャンペーンリーダーから紐解くDay1の裁量権


――実際にDay1を迎えた当時の心境をお聞きしたいです。

阪本:“マーケティング部=宣伝部”のようなイメージを持っていた私の想像は間違っていました。Day1でリードしたプロジェクトは「SK-II」のクリスマスコフレキャンペーン。ビューティー業界が盛り上がりを見せる大切なクリスマス商戦のプロジェクトリーダーを任されました。「1年目の自分が、大切なキャンペーンにおけるコミュニケーション戦略の企画から実行まで任せてもらえるなんて」と思ったのが当時の素直な感想です。
具体的には、CMやソーシャルメディアを活用したコミュニケーションや原宿でのポップアップストア、百貨店でのイベントの企画運営、メディアプランの策定から実行までを、社内外の様々なステークホルダーを巻き込み、サポートをいただきながら、リードしました。このプロジェクトのおかげで、様々な人を巻き込み、力を借りながら、ゴールに向かってプロジェクトを前に進めていくリーダーシップの大切さを学びました。

――印象的だったエピソードはありますか?

阪本:プロジェクト開始直後にSK-IIグローバルのトップであるCEOが来日し、自らが考えたプランを提案するミーティングでのことです。SK-IIグローバルCEOから「日本のSK-IIブランドマネージャーであるあなたが、日本のマーケットを最も理解していなければいけない」と一言。1年目で任される裁量の大きさと、その責任の重みを実感した瞬間でした。そこからは、自分が一番理解していると胸を張れるよう、ビジネスの状況を理解・把握するだけではなく、積極的にビューティートレンドに触れる機会を作り、日本の消費者や市場についての知識や理解を深めることに努めました。同時に、P&G独自のマーケター向け研修に参加し、すぐに業務で実践してみるなど、インプットとアウトプットを繰り返すことで、業務全体をリードできるようになった時は嬉しかったですね。

――その後、「SK-II」ではどのようなプロジェクトをリードされたのですか?

阪本:次に担当したのは東京2020オリンピック時に実施したのプロジェクトです。キャンペーンの企画の大枠やブランドとして発信していきたいメッセージは決まっていましたが、それを実際にどのように世の中に向けて発信・展開していくのかといったコミュニケーションの戦略作りから実行までを担当しました。

スポーツの祭典という世界中が「競争の美しさ」に注目する中、現代の女性たちが望まないにもかかわらず、強制的に日頃さらされている「美しさに対する競争」について考え、ありのままの美しさを後押ししようという「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」というものでした。美しさにおける競争について、社会に問いかけるという繊細なテーマだったため、シンガポールのマーケティングチームや広報チームとも協働しながら、どのようなコミュニケーションにするのか、どのようにコミュニケーションを取るのかなど、何度も何度も慎重に議論を重ねました。結果として、「これで大丈夫」と信じて実施したキャンペーン動画が、ソーシャルメディアで何十万回も再生され、新聞の朝刊でも大々的に取り上げていただくなど、想像以上の反響がありました。

また、消費者の方々からのリアルな声として「勇気をもらえた」などポジティブな反響を得られたことで、P&Gでの仕事を通じて社会を元気にすることもできるのだと感動しました。さらに、ビジネスの観点でも目標以上の結果を出すことができ、各マーケットで活躍した社員に贈られる『CEO Award』に選ばれるなど、強いやりがいを感じたことを覚えています。またこの成果をもって、かねてから希望していたシンガポールに異動することができました。

「ジョイ」の新製品開発でマーケティングプロセスのすべてをリード


――シンガポールに異動してから担当したプロジェクトについても教えてください。

阪本:食器用洗剤「ジョイ」のシニアブランドマネージャーとして新製品の企画を担当しました。その背景には、「価格競争が激化していた食器用洗剤のマーケットにおいて、より良い製品体験を消費者の方に提供することで差別化を図り、カテゴリー全体の伸長を実現する」というビジネスニーズがありました。逆をいえば、決まっていることはそれだけだったので、実際にどのように差別化を図るのか、といった肝となる部分を含めて、すべてを私がリードする立場でした。

ゼロからイチを創るために、まずはP&G流マーケティングの礎にある「Consumer is Boss」、つまり消費者起点に立ち返ることに。すると、「食器を洗う」と一言でいっても、「まとめ洗い派」と「すぐ洗い派」に分かれており、前者は「たくさんの泡が欲しい」、後者は「泡の量よりも泡切れの良さを求める」、といった異なるインサイトを持っていることにたどり着きました。その後も、そのインサイトに基づいた製品を開発するために、研究開発チーム(R&D)や消費者市場戦略チーム(A&I)など他部署と一緒に様々な消費者テストを行い、結果として「ジョイPRO洗浄 まとめ洗い用」と「ジョイPRO洗浄 すぐ洗い用」を開発することができました。

私は製品開発の道筋が見えたタイミングでP&Gジャパンに戻り、今度は「ジョイ」の事業責任者として、新製品を届けるためのコミュニケーションから販売戦略など、消費者の方が製品と出会い、実際に店頭などで手に取るまでの様々なタッチポイントを包括的に見る立場として、新製品の発売をリードしました。結果として、コミュニケーションがうまく機能し、「ジョイ」というブランドの認知が高まったことで、新しいユーザーの獲得にもつながり、ブランド全体の売上を押し上げることに。1人でマーケティングの川上にあたる製品企画から、川下にあたるコミュニケーションまでを一気通貫でリードできたことで、カテゴリーの成長に大きく貢献し、マーケターとしてのキャリアを歩む私にとって大きな財産となりました。

MY “DAY1” 「1年目であっても、あなたが日本市場を一番理解しているべき」 ブランドのグローバルCEOからの一言に裁量の大きさを実感

繰り返すDay1、想像以上のキャリア


――未経験からブランドの命運を分ける新製品の企画を任されることにプレッシャーはなかったんですか?

阪本:プレッシャーも感じていましたし、シンガポールに異動した1年目は辛い時期もありました。担当ブランドが「SK-II」から「ジョイ」へ移ったことで、製品のカテゴリーや価格帯、ターゲットまでが劇的に変化したので。さらに、日本からシンガポールのマーケティングへ異動したことで、製品展開の年間プランの策定や実行という仕事から、中長期的にブランドをどう成長させていくのかを考える仕事に変わりました。ブランドも仕事内容も大きく変わったので、転職した感覚でしたね(笑) そのため、当時は自分のパフォーマンスが周りの期待に応えられていない状況に悩むことも多かったです。

――どのようにして乗り越えたのですか?

阪本:それでも、やっぱり「SK-II」での成功体験が支えになっていました。暗闇の中、手探りでもがき続ける日々も“出口のあるトンネル”だと分かっていたので、「この先にある景色が見たい!」と踏ん張れたのだと思います。自分にできることを見つめ直すと、Day1から育んできたオーナーシップとリーダーシップや、消費者起点の発想が自分の武器になると気づきました。その武器を持って、「ジョイ」という自分にとって新しいカテゴリーの消費者にまずはとことん向き合おう、と決心したことで、乗り越えるための道筋が見えてきました。
また、他部署と積極的に協働できたことも、大きかったですね。例えば、データ分析を得意とする消費者市場戦略チーム(A&I)と一緒に消費者を定量的・定性的に理解し、研究開発チーム(R&D)とプロトタイプを開発し、生産統括チーム(PS)と最も効果的なサプライチェーンについて考え、ファイナンスと共に事業成長と市場成長の双方を達成するための収支計画を練り、営業企画と販売戦略を策定するなど、あらゆる部署と協働したことで、ビジネスとして成功するための道筋を見出すことができました。

――最後に、P&Gに興味を持っていただき、この記事を読んでくれている学生さんへメッセージをお願いします。

阪本: 私は、P&Gマーケティングに入社して、就活の頃に憧れていた「アイデアの力で世の中をより良くする仕事」の手応えを感じています。やはり日用品という日々の生活に密着している製品だからこそ、自分のアイデアがどのように受け止められているのかを身近に感じることができ、ポジティブな反応があると消費者の方々の生活を豊かにするお手伝いが出来ていると嬉しくなります。今後もマーケターとしてのスキルを磨き、P&Gという舞台で世界50億人の暮らしをより豊かにするアイデアを多く生み出し、形にしていきたいですね。

キャリアの観点では、学生時代の自分には想像すらできなかった、ワクワクするようなキャリアを歩めています。P&Gには、プロジェクトが変わるたび、それまで以上に大きな裁量権を持つことで、常に成長と働きがいを実感しながらキャリアを磨く環境があります。その入り口で、私は何度もDay1を迎えました。振り返れば、入社1年目のキャンペーンリーダーだけではなく、2021年のキャンペーンや新製品企画のタイミングもそう。Day1は、大きな裁量権がある一方で、プレッシャーに感じることもありました。それでも「この先にある景色を見たい」と踏ん張り続けてきたからこそ、今ではマーケターとして胸を張れるようになりました。

もちろん、思い描いた通りにならないことや、プレッシャーを感じる瞬間も少なくはないですが、マーケターを目指す方々にとって、P&Gのマーケティングは、その規模感や業務内容、また会社として人を育てる環境が整っている点など、包括的に見て、自信をもっておすすめすることができます。マーケターとしてキャリアを磨きたい方々にとって、P&Gが皆さまのキャリアの舞台になれば嬉しく思います。