2023/10/24

P&Gジャパンの人的資本経営
~最重要資産である「人材」の能力を最大限に引き出し成長戦略へとつなげる人材育成~

P&Gは人材こそが最も重要な資産であると考えます。多様な社員一人ひとりの能力の最大化が企業の成長につながるという信念に基づき、主に「育成システム」「研修」「企業文化」「グローバルな環境」といった側面から人材育成に取り組み、日本だけでなく世界中で活躍できる人材を育成しています。

P&Gジャパンの人的資本経営

短期間でも著しく成長するための育成システム

1. 徹底した内部昇進制で将来のリーダーを内部から育成

P&Gでは外部から管理職・経営陣などを登用するのではなく自社で育成することに注力する、外資系企業では珍しい内部昇進制を人材戦略の柱とし、若手社員時代から、将来のリーダーになる人材を育てていく方針を掲げています。また、職種別採用を導入しており、同じ職種の中で様々な業務経験を通じて専門性を磨くことができるため、短い期間でプロフェッショナル人材へと成長することが期待されます。 経営陣を含む組織のリーダーや上司や同僚は、「会社の将来を担う人材を自分たちで育てる」ことを日ごろから意識しており、組織のリーダーや上司の人事評価項目には部下の育成や組織貢献などが組み込まれています。

P&Gジャパンの人的資本経営

2. Day1から大きな裁量権を与え、リーダーシップを発揮できる人材を育成

P&Gの各社員が持つ裁量権は大きく、一人ひとりの社員に担当業務への強いオーナーシップが求められます。入社1日目のDay1から裁量権を持つことで、担当案件の責任者として、提案・立案から、意思決定層の説得及び承認まで、関連部署の関係者を巻き込みながらプロジェクトの推進を行います。常に目的に立ち返り、自分で論理的に考え意思決定する場面が多いこと、社内関係者を巻き込んで推進する力が求められること、そして年次が上がっても、常に新たなチャレンジに挑戦することができるため、日々の業務やプロジェクトマネジメント経験を通じて、世界中のどのような環境でも活躍できるリーダーへ成長することができます。  キャリアストーリーはpgcareer からご覧ください

~P&Gの人事評価 - 部下を自分より優秀なマネージャーに育てる仕組み~

① 社員一人ひとりの1年間の目標は、全てのステップにおいて上司と合意

P&Gでは全社員が、年度初めに年間目標を設定しています。この年間目標では、仕事で成し遂げたいゴールやそのためのアクションプラン、自身の成長につながるスキルアップの目標を設定しており、上司から一方的に与えられるものではなく、自らが提案し、上司と部下で互いに合意することが前提です。その後の進捗状況の確認や年度終わりのレビューにおいても、1on1を有効活用しながら上司と部下で達成状況や改善点、結果を話し合うため、上司から見た評価と部下の自己評価に乖離が生じません。

② 管理職はビジネスだけではなく部下や組織育成の貢献も人事評価の指標

P&Gでは、研修をすることも人事評価に加算される仕組みが整っています。特に管理職以上になると人事評価には部下の育成やチームマネジメントなど組織貢献が必須で含まれており、ビジネス伸長の貢献はもちろんのこと、それと同じくらい部下と組織の成長にどれほど貢献したかが重視されます。

トレーニングカンパニーと呼ばれるほど充実した社内 研修

1. Training is priority(研修が何よりも優先される)

P&Gでは世界に通用するプロフェッショナルを育てるため、個人の成長段階に合わせた様々な研修を実施しており、e-ラーニングも含めると社内研修のコース数は数百以上です。人材育成への投資を惜しまないため研修の優先順位が高く、各社員は研修後に得られるものを上司と明確にした上で、業務時間中に行われる研修へ参加することが期待されます。また、熟慮された研修設計により、理論や知識を得る講義だけではなく、ケーススタディやロールプレイ、ディスカッションが必ず組み込まれており、日常業務に生かせる知識やスキルを得ることができ実践的に学ぶことができます。半年に1回設定される研修ウィークや、各組織が実施するものでは、20以上のコースから研修を選び、受講することができます。

2. 自社開発&自社講師のため内容が実践的

講師はP&G社員が登壇することがほとんどであり、多くの研修プログラムを内製しています。社員が講師をするメリットは、日々の業務内での体験や事例を共有し、また学んだ内容をどのように展開するか等実践を交えて研修が進められるので、受講内容をよりリアルに捉えることができます。管理職以上は、社内講師として自身の部下だけでなく組織全体の人材育成への貢献が期待されるようになります。

3. OJT(ON-THE-JOB-TRAINING)を重視

P&Gでは、経験ベース(70%)、上司、同僚、メンター(20%)経由、研修や教材を通じて(10%)の3つの領域から学ぶ『70:20:10の法則』に基づいて人材育成を行っています。研修での学びを日々の仕事で活かすことができるよう、経験ベースであるOJTに重きを置いており、実際の仕事を通じて直属の上司や先輩から仕事の知識・スキル・姿勢や会社全体の仕事の流れを学びます。育てる側の社員が自らの責任として取り組むため、社員の成長が促されます。

「成長思考」を促進し、能力を最大限に発揮させる 企業文化

1. 社員の成長を促す双方向の対話1on1

P&Gでは「キャリアは自分で形成するもの」という 姿勢を重視しており、その一環としても社員が主体的に上司との1on1やメンターとの1on1を実施しています。

• 社員の主体性を養う上司・部下の1on1

P&Gでは、上司と部下が1対1で定期的にミーティングを行っています。実施頻度は週1回や隔週、月1回など上司と部下の間で必要に応じて決定します。この1on1では、上司の視点から一方的に実施するコミュニケーションではなく、部下が話す内容や1on1の進め方を決めるなど、部下が主体性を持って臨むことが期待されています。また1on1を計画的に設定することで、業務の報告・相談だけではなく、プライベートやキャリア形成についても話す機会を創出し、上司とともに課題解決に取り組むことができるとともに部下の自主性や成長を促し、信頼関係の構築にも繋がります。

• 経験のある社員から適切な助言をもらえるメンターとの1on1

P&Gでは人材育成の一環として、メンターシップ制度があります。メンターはいわば信頼のおける社内アドバイザーで、メンティー(メンタリングを受ける側の人)は自分自身のキャリアやスキル育成、日々の働き方における悩み、プライベートと仕事の両立、子育てや介護を含めた家庭との向き合い方などそれぞれの悩みに応じて多様なメンターを持つことができます。経験のある社員から適切な助言をもらうことで、個人のニーズに寄り添った形で社員一人ひとりが能力を発揮できる環境を醸成することができます。

2. 「Feedback is gift」が社員の成長を促す

P&Gでは、「Feedback is gift(自分が受けたフィードバックは大切な贈りものと考える)」という考え方が浸透しており、自分自身のスキルや働き方、成果などをより良くするために、上司・部下・同僚など立場に関係なくフィードバックを求めることができます。改善点や成長機会だけでなく良い点も伝えることが推奨されるため、前向きに受け止めやすく、フィードバックをしやすい風通しのよい雰囲気の醸成に繋がります。上司が部下にフィードバックを求めることも推奨されており、部下からの視点でも上司を育てるなど、各社員の成長を促すものとして重視されています。

3. 学びも失敗も共有し、自分の経験を周囲の成長へつなげる

P&Gでは、「Share (自分が得た学びや発見を周囲へ共有する)& Reapply(共有された学びを自分の業務に活かす)」が推奨されています。業務を通じて得た学びを自分だけにとどめるのではなく、分かりやすくまとめて周囲へ共有することが評価にもつながります。成功事例に限らず失敗事例も共有することで、個々の経験値を属人的にさせない企業文化が根付いていると言えます。

能力・経験を高めるグローバルな環境

P&Gは約70か国で事業を展開し、世界180か国以上の人々の生活を向上させる、長く愛され続けている製品ブランドを構築しています。キャリア機会は、日本にとどまらずグローバルに広がっており、多国籍社員がP&Gジャパンで働く、または日本人社員がP&Gの海外拠点で働くなど、グローバルなネットワークを活用した人材育成が意図的に行われています。

1.日本で働きながらグローバルな環境でスキルアップ

新しい視点や他の市場で成功した例を取り入れることができる日本法人側と、異なる市場でも成功する能力やグローバルに活躍するリーダーを育てる多国籍社員の両者のメリットがあるため、多国籍社員が日本で働くよう組織設計をしており、多才で多様な人材が存在する職場環境を作り、日本にいながらも多様な文化背景や価値観を持った社員と働くことができます。例えば、会議でも多様性に富んだ視点からの意見が飛び交い、時には文化背景の違う相手を丁寧に説得するなどグローバルな環境でビジネススキルを磨くことができます。

2. 海外駐在を積極的にすすめ世界でも戦えるリーダーを育成

P&Gでは海外駐在の機会を積極的に創出しており、実際に多くの日本法人出身社員が海外で活躍しています。日本での成功事例やノウハウを海外のP&Gグループに共有する一方で、様々な文化や習慣の違いを持つ消費者・取引先や、異なる国籍の社員が働く職場環境で、多様な文化・価値観・ビジネス・商習慣に触れ、その中でプロフェッショナルとして成長していくことができます。これらの経験は日本に新たなイノベーションをもたらし、日本市場でのビジネス成長に貢献するだけでなく、組織の活性化につながります。

3.多様性のある組織で活躍するには「インクルージョン」スキルが必要

多様な環境下で働くからこそ、P&Gでは、個々の多様性を受け入れ活用する「インクルージョン」をビジネススキルとして重視し、習得するために様々な機会を提供し、社員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮して自分らしく活躍できるように取り組んでいます。